脳科学やAI、電気工学の勉強を通じて、言語、コミュニケーションの壁を取り払うデバイスを開発する
稲垣智華
2024年秋入学
カリフォルニア大学サンディエゴ校
認知科学部機械学習学科
コンピューターエンジニアリング専攻予定
国立名古屋大学教育学部附属高等学校普通科卒業

「認知科学」の最先端を走るUniversity of California San Diegoで学ぶ稲垣智華さん。最新のテクノロジーに触れ、多くの仲間と学び合いながら、興味関心を広げています。
INTERVIEW.01 そのテーマに興味を持ったきっかけを教えてください。
小学2年生のときに観たディズニー映画『アナと雪の女王』がきっかけで、私は英語に恋をしました。それ以来、英語をはじめとし、言語を学ぶことが私の人生のとても大きな柱となりました。
その一方で、言語学習には「言語を学ぶのが楽しい」という気持ちの他にも、膨大な時間と労力、お金が必要であり、すべての人が言語を学べるわけではないということに気づきます。そして、高校2年生で「トビタテ!留学ジャパン」という文科省の奨学金を受けてカナダに留学した際、英語が話せるかどうかで生まれる機会の格差、また話せる言語による人々の分断を目の当たりにしました。
このときから、誰もが英語を話せるようになることを必要とする社会ではなく、人々が自分の母国語を最大限に活かしながら、誰もが平等に活躍できる世界を作りたい。そう思うようになりました。
INTERVIEW.02 アメリカで学びたいと思った理由は何ですか?
英語の勉強を始めて以来、漠然とアメリカで学んでみたいという気持ちがありましたが、高校1年生で参加したStanford e-Entrepreneurshipというオンラインのサマープログラムでその思いは現実味を帯びました。実際にアメリカの大学に進学を目指している先輩たちに出会い、日本からでもアメリカに留学できることやエン人材教育財団のような全額給付型の奨学金があることを知ったのです。
調べてみると、アメリカの中でも特に西海岸の大学は私の目標に理想的な環境でした。起業家精神が根付いたキャンパス文化や、理系・文系にとらわれず異なる学問分野を学べる二重専攻制度。また、多種多様なバックグラウンドを持つ学生と寮で共同生活しながら切磋琢磨できる環境に強く惹かれました。特に、自分の学びたい分野が世界最先端で研究されているということもあり、アメリカの大学で学びたいという気持ちが確固たるものになりました。
INTERVIEW.03 アメリカでの大学生活や学んでいることについても教えてください。
歩いてビーチに行けて、毎日暖かい日差しを浴びられる幸せな環境の中で、学びに熱心な学生たちと一緒に学問に励んでいます。
通常の授業の他にも、1年生だけが受けられる少人数の特別授業があり、様々な学問分野の入門クラスを体験することもできます。また、エンジニア系のサークル等は入るための選考の倍率が20倍くらいのものも多くあり、学期の初めはサークルへの応募や面接で大忙しです。
講義室の他に私が毎日足を運んでいるのは、デザイン&イノベーションビルディングという建物です。そこでは、3Dプリンターやレーザーカッターなどの機械をいつでも無料で利用することができ、自分のやりたいプロジェクトがあれば、多様な分野のエンジニアたちからのサポートも受けられます。さらに、この建物内にあるベースメントと呼ばれるスペースでは、毎週起業に関するイベントが行われており、サンディエゴの起業家や卒業生たちに出会える機会も豊富です。
INTERVIEW.04 これから大学でどんなことを学び、それをどのような形で将来に活かしたいですか?
私の二重専攻のうちの1つの認知科学は、情報学、神経科学、言語学、心理学、人類学、哲学等にまたがって人間の脳や行動、その計算を学ぶ学部で、世界で初めて設立したのがUCSDです。世界的な認知科学の教授の授業を受けながら、授業外でも、義手を作るサークルや研究室での活動を通じて、学びを深めています。もう1つの専攻の電気工学では実践的なモノづくりのスキルを身に着け、ベースメントのイベントを通して起業について学んでいきたいと考えています。また、様々な分野に精通する人たちと積極的に関わり、自分の学びを異なる視点から捉えられるようになりたいです。
そして将来は、これらの学びを活かして、スタートアップを立ち上げることを目指しています。言語や言語を越えたコミュニケーションの壁を取り払うための翻訳デバイスを開発し、誰もが平等に活躍できる世界を作ることが私の夢です。